そけい(鼠径)ヘルニアとは?

そけい(鼠径)ヘルニアとは、鼠径部に起きてしまったヘルニアの事です。
腹膜や腸の一部が本来の場所からはみ出してしまい、鼠径部の筋膜の間から皮膚の下に出てくる状態です。
一般の方には「脱腸」と呼ばれて知られています。
そけい部とは、人間の上半身と下半身ののつなぎ目である足の付け根の部分を指します。
誰かが「ビートたけしがコマネチをするあのライン」という分かりやすい例えをしていました(笑)
男性の場合は、精巣(睾丸)につながる血管・精管の束(精索)が、そけい部の筋肉の隙間(そけい管)を通っておなかの中から外へ出ています。女性の場合、子宮を固定する靭帯がここを通っています。
そけい(鼠径)ヘルニアの症状
そけい(鼠径)ヘルニアの症状は、初期の段階では、そけい部分に指で押さえると引っ込むぐらいの柔らかい膨らみができます。
この段階では自覚症状はあまり感じない事が多いです。
そけい部に何か出てくる感触があり、腹の中から腸が飛び出すことから、一般的には「脱腸」と呼ばれています。
次第に小腸などの臓器も一緒に飛び出してきてしまうので、「不快感」や「痛み」を自覚症状で感じてきます。
・柔らかかった膨らみが急に硬くなる
・指で押さえても引っ込まなくなる
・お腹が猛烈に痛くなる
・嘔吐が止まらない
といった症状が現れてきたら、それは非常に危険な嵌頓(カントン)状態です。
嵌頓(カントン)とは?
嵌頓(カントン)状態とは、とび出した臓器が筋肉で締め付けられて引っ込まなくなってしまっている状態です。この嵌頓を引き起こす可能性は、全体の約10%と言われています。
嵌頓を起こすと、食べ物が腸の中を流れていかなくなり腸閉塞を起こします。また、筋肉に締め付けられている腸に血液が流れなくなり、腸の組織が壊死してしまうと敗血症を引き起こしてしまうために命に関わる状態です。
この嵌頓は、いつ起こるのか予想ができません。もし嵌頓が起きた場合には速やかな緊急手術が必要になります。万が一、腸の壊死があった場合には、その腸を切除しなくてはならない場合もあります。最悪の場合、人工肛門になってしまうこともありえます。
成人そけいと先天性そけい
そけい(鼠径)ヘルニアと一言で言っても、先天性と後天性のものがあります。先天性鼠径ヘルニアの代表例が新生児に見られるケースです。
先天性そけい(鼠径)ヘルニア
これはまだ十分にカラダが出来上がっていない胎児の段階で、鼠径ヘルニアが発生してしまう場合がほとんどです。
しかしこの先天性鼠径ヘルニアの特徴として、新生児の場合にはカラダが徐々に発達していく過程において、腹壁の傷が自然に治癒していくケースが多いので、すぐ手術ではなく経過観察するのが一般的です。
ただ、病院で手術の必要がないと言われたとしても、保護者の方は油断をせず、お子さんの様子を気にかけていてください。なぜなら上記で述べた嵌頓(カントン)に襲われる可能性がゼロではないからです。お子さんが急にお腹の痛みを訴えるようなことがあれば、嵌頓の疑いがありますので急いで病院へ行かれることをお勧めします。
後天性そけい(鼠径)ヘルニア
別名「成人そけいヘルニア」とも呼ばれています。
この場合は、加齢によってカラダの組織が弱くなることが原因で、特に40代以上の男性に多く発症する傾向があります。成人そけいヘルニアの場合、8割程度の患者さんが「男性」です。このケースは圧倒的に男性に発症しやすいものなんです。
なぜなら女性は骨盤が出産に備えて元々頑丈に作られているのに比べ、男性の場合は構造がそれほど丈夫ではなく、日常的にもより大きな負荷が女性に比べて掛かりやすいからです。
また、鼠径ヘルニアの発生には従事している職業が大きく関係していることが近年指摘されています。腹圧のかかる製造業や立ち仕事をされている方が比較的鼠径ヘルニアを発症しやすいというデータがあります。また、便秘症の方や肥満の方、前立腺肥大や咳をよくする方も発症しやすいので普段の生活から注意が必要です。





